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『希望のがん治療』斉藤道雄 of 新書ブックセンター - 新書専門のレビューサイト -

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著者
斉藤道雄
初版発行
2004年10月20日
ISBN
4-08-720261-5 C0247


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概要&レビュー

現在統計的に見ると、日本人の3人に1人はがんにかかるといわれている。これまでがんは不治の病として捉えられてきたが、最近では早期発見早期治療によって生存の確率も増えてきたという。しかし依然としてがんは最難関の病気の一つであることに変わりない。現代医学では、がんに対して三大治療と呼ばれる手術、抗がん剤、放射線があるが、それ以外で明確に確立されたものはまだ少ないのが現状である。
しかしがんを治した人、がんが治った人がいないわけではない。つまり、がんになったからといってすぐに諦めるものではなく、希望を持ってがんに立ち向かうことが可能なのだ。本書では、末期のがんが治った方のお話から始まり、いくつかの体験談を基にしながら、現代医学だけではないがん治療の実際をレポートしている。それぞれのケースは、現代医学に頼りながら代替医療を取り入れて治ったもの、現代医学に頼らず気持ちを切り替えていくうちにがんが治ったものなどある。またその取材の過程で出会ったがん治療への代替医療などのアプローチなども取り上げている。
本書の内容がどこまでが本当なのかにわかに信じがたく、がんが治る人がどの割合でいるのかなどは明確ではない。しかし、“がんが治った”という事実があることから始まる本書は、元報道関係に携わってきた著者の真摯な取材力によって著された確かな内容である。本書を読み進めて行くと、がんは治らないというこれまで囚われてきた常識から少しずつ解放され、がんでも治る可能性があるという気持ちが芽生え、題名どおりがん治療に希望をもたらす端緒となるだろう。