概要&レビュー
人生は毎日選択の連続とも言えます。結婚や転職のような人生の大きな転機をかけた選択もあれば、お昼は何を食べようかといった日常生活の選択もあります。そういった毎日の選択を、我々はどのような思考過程を通じて行っているのだろうか。例えば日々の食事のことで言えば、昨日はカレーを食べたから今日はカレーは嫌だなぁというのはメニューの履歴から視た戦略であり、昨日はお肉が多かったから今日は野菜中心でいこうというのは、栄養面から視た戦略とも言い換えることができます。さらにそこに健康面という視点を加えると、さらに食事は戦略的になります。食事のような日々の小さな選択行動ですらこのような戦略的思考は可能なのですから、大きな選択などはなおさらに戦略的思考をしてみる価値があるのではないでしょうか。そしてこのような戦略的思考を可能とするツールが、本書の副題にある「ゲーム理論」ということになります。
本書は、戦略的思考、ゲーム理論の入門書です。戦略的思考を理解するために、例に挙げられるものは身近なものが多く、単純化したモデルのお話が多いです。しかし残念なのは、最初のほうこそ図やまとめがあるものの、後半はそういったものがないので、後半に入ると混乱しそうになります。そういった意味では、新書ではありますが、しょうしょう骨の折れる部分もあります。しかしそもそもゲーム理論そのものが骨の折れるものだと思いますので、これでもわかりやすいお話なのだと思いますし、戦略的思考やゲーム理論を理解するためのかっこうの入門書であることには間違いがありません。
読み終えますと、日常生活の中にたくさんの選択があることに気がつきます。そしてその選択の一つ一つに意識を向けることも可能なのだと気がつきます。