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『この金融政策が日本経済を救う』 高橋洋一 of 新書ブックセンター - 新書専門のレビューサイト -

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著者
高橋洋一
初版発行
2008年12月20日
ISBN
978-4-334-03484-9
定価
740円(本体)


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概要&レビュー

著者は“埋蔵金発掘者”で知られる経済評論家の高橋洋一氏。高橋氏は、大蔵省の官僚を経て、小泉政権のブレーンの一人である竹中平蔵(経済財政担当大臣などを務めた)の下で、金融政策や郵政民営化の助言をしてきた。
日本の経済を語った本は、危機感の“破綻派”と、日本は大丈夫であると言う“健全派”の二つに分かれるのではないだろうか。同じ経済を見ているのにどうしてこうも真逆な結論になるのかわからないのですが、それぞれの本を読むと、それぞれの論に思わず納得してしまうと言うところもあり、細かいところまで理解していくのは難しいのではないでしょうか。そこで本書は、左に資産、右に負債を載せる、誰が見ても結論が一目瞭然に出てくるバランスシートの作成を推奨しています。高橋氏が埋蔵金を掘り当てたのも、巨大な国家予算のバランスシートの作成によるもの。
本書はバランスシートの簡単な見方や概念を述べた後に、日本政府の負債と資産、金融政策、プライマリーバランスなどを解説しています。とても歯切れが良くて論理的なのですが、議論の中には多少ざっくりとしたところがあったり、多少の矛盾を含んだ感情的なところや、ぞんざいな見解が見受けられなくもありません。しかし本書の価値は、政府に言われるがままに金融政策や税制の変更を一方的に受け入れるだけの日本国民に対し、もう少し経済について学ぼうと言う喚起を促がしてくれるところだと思います。そしてまた、本書を読んでいると、税制改革=増税という単純な議論ではないことや、マスコミや政府の見解を鵜呑みにしないようにという、経済面でのリテラシーを向上する必要性を痛感するところにもう一つの価値があると思います。


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