AX

『バランスシートで考えれば、世界のしくみが分かる』 高橋洋一 of 新書ブックセンター - 新書専門のレビューサイト -

P8161318.JPG

その他の新書シリーズ一覧 HOME > 光文社新書 > 『バランスシートで考えれば、世界のしくみが分かる』 高橋洋一

balanceseat.jpg

著者
高橋洋一
初版発行
2010年12月20日
ISBN
978-4-334-03597-6
定価
740円(本体)


img_amazon01.gif

概要&レビュー

著者は“埋蔵金発掘者”で知られる経済評論家の高橋洋一氏。高橋氏は、大蔵省の官僚を経て、小泉政権のブレーンの一人である竹中平蔵(経済財政担当大臣などを務めた)の下で、金融政策や郵政民営化の助言をしてきた。
日本のマスメディアにおいて経済を語る際、あまり理論的ではないことが多いように思います。例えば政治は有権者の好み、政治家に対する印象、政党や派閥の思惑など、感情を中心としたなんとなしのイメージで語られることが多いものです。しかし経済も同じようにイメージで語られていいのでしょうか?どうも経済も政治と同じように、イメージ先行で報道されることが多く、一般の我々もそれに同調してしまう傾向にあるのではないでしょうか。例えば円高だから海外旅行をすると得というような、安易で核心のないイメージだけで語ってしまい、経済の問題がどこにあるかという議論が全うに行われていないのではないでしょうか。しかし経済は政治よりもはるかに理論的であり、イメージだけでかたるものではありません。日本人一人一人が将来の日本という国を形作ろうと思うのであれば、そろそろ経済をイメージだけで語ることは辞めて、経済を理論的に捉えていくことが必要なのではないかと思います。
ではその理論をどのように知るのか?どのように活かすのか?活かすことはできるのか?本書は金融政策のプロが書いた本です。金融政策と財政政策の違いと、その効果の出方の違いなどをわかりやすく解説したものです。日本のこれまでの政策の多くは、金融政策よりも財政政策を重視するものばかりでした。しかし高橋氏は金融政策を優先せよと説きます。そもそも経済政策に、財政政策と金融政策の二つがあることすら知らない方も多いと思いますので、ここで一つ本書を通して、経済政策を理解しておくことは今後の日本経済を知る上で大切なことになります。
経済に対してのリテラシーを増すことは、政党のマニフェストを理解し、自分の投票を実のあるものにすることでもあります。つまり、政治を動かすためには、我々自身も経済をもっと理論的に理解していく必要があると思います。本書はそのきっかけになるのではないかと思います。


マイコミ新書一覧