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『初めに行動があった』 アンドレ・モロワ著 大塚幸男訳 of 新書ブックセンター - 新書専門のレビューサイト -

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著者
アンドレ・モロワ
訳者
大塚幸男
初版発行
1967年4月20日
現在絶版


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概要&レビュー

本書はフランスの文学者であるアンドレ・モロワの訳書です。モロワはアランの弟子。
本書はあらゆる“行動”の諸形態について思索したもので、各論で扱っているものは軍事行動、政治行動、経済行動、芸術行動、科学行動(科学と医学)などと幅広いものがあります。1967年に書かれた本ですので、ネットなどの最新の機器がないこともあり、そのあたりの時代的な限界を感じはしますが、その他に関しては、行動の諸形態を鳥瞰するための視点として、現在の世の中にも多くの示唆とアドバイスを与えてくれます。
特に本書の総論ともいえる「第一部 行動の性質」では、行動と意志の関係や、行動の自由、思考と行動などを丁寧に思索しており、それらを基にしながら行動の根源について語っているところなので、何度も読んでおきたい所です。
モロワの師匠であるアランの著述からの引用はもちろんのこと、その他の思想家などからも幅広く引用があり、モロワのエスプリを感じることができ、そこから生まれるモロワの一言一言も深い傾聴に値するものばかりです。新しい時代を生きていくために、賢人の知恵をかりる、そんな気持で読みたい一冊です。