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『中国の科学文明』 藪内清著 of 新書ブックセンター - 新書専門のレビューサイト -

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著者
藪内清
初版発行
1970年8月20日
現在絶版


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概要&レビュー

「中国4000年の歴史」と言われますが、中国はエジプト文明やメソポタミア文明、インダス文明とあわせて四大文明の一つに数えられ、文明が最初に生まれた地であります。また、視点によって分類が異なりますが、一般的に言われている世界三大発明の羅針盤、火薬、紙といったものは、すべて中国が発祥です。さらに医療においては、漢方薬や鍼灸と言った独自のシステムを築き、それらは今日にも受け継がれています。中国は文明の発祥で、文化や発明だけではなく、政治などの面でも古来から成熟していた国と言えます。その成熟した中国から、日本も遣隋使や遣唐使などを通して中国から様々な物質や学問を輸入して国家を作り上げていきました。
本書は、そんな中国文明の成立から、成熟して発展していく過程、そしてその頂点の後に訪れる、近代に入ってから諸外国に取り残されていく様子までを取り上げています。発行が1970年ということで、情報に古さがあるのは当然かもしれませんが、中国文明、その中でも「科学文明」に焦点を当てた本としては、手軽に読めて、かつ適切な歴史観で読むことができる好著です。
中国史が好きな方や、中国文明に興味がある方、また、鍼灸など東洋医学を勉強している方にも興味のある内容となっています。絶版ではありますが、ぜひお探しして読んでみていただきたい一冊です。