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『その「がん宣告」を疑え 病理医だから見分けるグレーゾーン』 福嶋敬宣 of 新書ブックセンター - 新書専門のレビューサイト -

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著者
福嶋敬宣
初版発行
2010年6月20日
ISBN
978-4-06-272662-7
定価
838円(本体)


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概要&レビュー

 癌の疑いがあるといわれて生険をする。それはどうしてかというと、癌と正常細胞の見極めというのは、初期のときはとても難しいものがあり、専門の病理医の判断が大切と言われています。本書は専門の病理医が著したものなので、その判断の基準が丁寧に書かれています。本書のタイトルは、「その「癌宣告」を疑え」というセンセーショナルなものですが、これは、何でもかんでも疑えと言う意味ではなく、“病理医から見た場合、まだ癌とは言えないものも含まれることがあるので、正しい判断をしましょう。”というくらいの意味合いで捉えておくとよろしいかと思います。
 かつて慶応病院の近藤誠氏による、『患者よ、がんと闘うな』がベストセラーとなりましたが、その中で「がんもどき」という言葉が使われていました。がんもどきは「上皮内がん」と呼ばれるもので、欧米ではがんと診断されない段階のものです。これをがんと含めるか含めないかで変わってくるわけですが、本書はそのあたりも解説しており、「がんとは何か?」というがんについての知識を得ることができます。さらに「がんの正体」では、がんとは何か、どんな種類のがんがあるのかを大きく分類しながら解説し、最後の章では、もしがんと宣告されたときの対処の仕方、基本的な心得といったことを書いています。
 本書は分かりやすいがんの入門書です。決してがん検診やがん治療を否定するものではありません。がんと宣告されたとき、がんと宣告されるかもしれないと言う年代に入った頃に、もし自分ががんになったときは、どのような選択をしていこうかということを示してくれています。周りにがんの方がいらっしゃるときなどにも有効な一冊になると思います。


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