『本当は必ず治るアレルギー・アトピー』　皆川正夫著 of 新書ブックセンター　－　新書専門のレビューサイト　－

概要＆レビュー

アレルギー・アトピーで悩まされている人は、その程度の差はあれど、とても多いと思います。そして、アレルギーやアトピーが治ると称して、たくさんの商品や治療方法が宣伝されていて、どの情報が正しいのか間違っているのか区別がつかないくらいです。そもそもアレルギーやアトピーは、個々の身体が持っている免疫機能が異常な反応を示している状態のことを言いますが、個々の身体の免疫機能は、育ってきた環境やこれまでの食生活の影響を受けているために、個性があり、同じアレルギーでもその発生機序が微妙に異なっています。そのため、ある人にはこれが功を奏したり、別のある人にはそれが合わなかったりと、それぞれに効果の出方が異なるために、どの情報もそれなりに正しかったりするので厄介ではあります。
本書では、小児アレルギー・ぜんそく・花粉症、そしてアトピー性皮膚炎を扱っています。特にアトピー性皮膚炎は紙面を多く割いています。本書の全体のトーンは、気合の入った“必ず治る”というタイトルの割りには落ち着いており、アトピー本にありがちな大げさな表現は全くありません。また、これもアトピー本にありがちですが、ステロイド剤を悪者扱いすることなく、上手な使い方を丁寧に解説しています。これは、納得がいくまで時間をかけた筆者の丹念な取材の裏づけによるものだと思います。とても中立な立場に立った冷静な書き方と、一つ一つ事実を積み重ねているところが、“必ず治る”と自信に満ちたタイトルに通じている好著です。アレルギーやアトピー性皮膚炎の方や、その周辺の方々にはもちろん参考になりますし、医療者にとっても参考になるところが多いと思われます。

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