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『発達障害を見過ごされる子ども、認めない親』 星野仁彦著 of 新書ブックセンター - 新書専門のレビューサイト -

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著者
星野仁彦
初版発行
2011年3月30日
ISBN
978-4-344-98209-3 C0295
定価
740円(本体)


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概要&レビュー

本書を読むと、一口に「発達障害」と言っても、その中身はかなり複雑で、分類もたくさんあることが分かります。そして読んでみると、意外にも自分の普段の生活態度と重なる部分もあって、発達障害がかなり身近にあるのではないかと思ってしまいます。また、本書を読むと、どこか人間の個性を打ち消してしまうのではないかという思いにもなり、少し気分が落ち込むかもしれません。逆にそれが、「ちょっと病気なんだから仕方ないか」と思える、開き直りの材料になるのなら、それはそれで役に立つものかもしれませんが・・・。
本書には、発達障害の分類があり、その症例が少し書いてあります。症例の中には、良くなったケースもあるのですが、中には改善されなかったケースや、現在も治療中のケースもあります。良くなったケースばかり書いてある宣伝ものよりも、バランスが取れているとは思うのですが、逆に「発達障害は治らないものもあるんだ」と、医学の限界を感じる。発達障害は心の病気なのか、それとも脳を中心とした体の機能や身体の故障なのか、その線引きがなかなかできないような印象です。
本書は、改善されるという希望と、病気なんだという落胆とが入り混じっています。また、人よりも飛び抜けた個性を認めないような感じもあり、少々読むのは覚悟がいるかなと思う面も。しかし本書は、発達障害というものがあり、それに苦しむ人がいると言うことを教えてくれます。その理解ができると、社会も少し寛容になっていくのではないかと思います。本書は後半単調になりますが、発達障害の分類を、あまり情緒的になりすぎずに概観すると言う点ではいいかもしれません。


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