概要&レビュー
現代の生活の中で、ストレスを感じないことはなく、ストレスを感じない人もまた皆無であるに違いありません。会話の中でもストレスとという言葉が日常茶飯事に出てきますが、いったいストレスとは何なのでしょうか?
本書は、ハンス・セリエのストレス学説を軸にしながら、ストレスによって身体にどのような変化が起きるかということを主題にしたものです。日常で使われているストレスという言葉が、医学のテーマの一つとして認識されるようになったのは意外に新しく、ホルモンの発見とも関連が深いようで、その発見への歴史は本書で詳しく解説されています。
本書はストレスが身体や精神にどのように影響を与えるかということを、ハンス・セリエのストレス学説を元に分かりやすく説明し、著者の専門分野である神経生理学の見地からも解説を加えています。本書の後半では、ストレスをやわらげるための方策を挙げていますが、中身はそれほど濃いとはいえませんので、あくまで本書はストレスを科学的に解剖するための一助として理解しておくといいのではないかと思います。
ハンス・セリエのストレス学説は、東洋医学や鍼灸などの代替医療を学ぶ方にとっては、科学的根拠となる重要なものです。本書ではその辺りにも触れておりますので、ストレスとは何かとより深く理解していくためにも有益な一冊になるかと思います。