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『がんはなぜ生じるか』永田親義 of 新書ブックセンター - 新書専門のレビューサイト -

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著者
永田親義
初版発行
2007年12月20日
ISBN
978-4-06-25781-2


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概要&レビュー

人類にとって最強の敵、それはがん。著者は量子学を専攻し、ノーベル賞を受賞した福井謙一氏の下で研鑽を重ね、フロンティア電子理論をがん発生に応用することを命じられる。その後国立がん研究センターで、活性酸素によるがん発生をフリーラジカル説としてまとめあげる。本書は、そんながん研究の経緯を持つ著者によって書かれた極めて冷静で慎重な見解をまとめたもの。
「確かな発がん物質」「アスベストによる発がん」「確かな発がん物質に準ずるもの」「発がんにかかわるもの」と、紙面の多くを発がん物質に割いている。その後「がんはなぜ生じるか-そのメカニズム」「発がんメカニズムに関する理論」「その他の説」と、がん発生のメカニズムとその有力な理論を解説している。
著者も本書内で語っているが、がんはいろいろなアプローチによって解明されつつあるが、解明されたと思ったらすぐさまそれを覆うような雲がやってくる。現在はその繰り返しで、一歩一歩進むしかないのが現状のようである。本書はその中でも、本書が書かれた時点(2007年)で有力となっている説とその解説を冷静に分析している。
医療従事者、がんのことを概観するにはお勧めの一書である。