概要&レビュー
2011年に逝去したスティーブ・ジョブス氏は、アップルの創業者でありますが、それ以上にそのカリスマ性、栄光と挫折、アイデアの革新性という意味で、時代を超えた創業者として常に脚光を浴びる存在でした。
本書は、スティーブ・ジョブスの仕事術について概観したもの。仕事術と言っても、細かい仕事のやり方を述べたものではありません。こういうときにはこういう判断をした、こういうときには信念を貫いた、という感じの大まかな仕事への取り組み方が本書の主題です。その主題を43のキーワードにし(少々こじつけのようなものもありますが)、それを元にしながら、実際の我々の仕事にも、その流儀の一部でも応用してみたらどうだろうという著者からの軽い提案のような内容になっています。
スティーブ・ジョブスは数々の伝説があるわけですが、アップルという付加価値の高い企業を創業し、社会のイノベーションに不可欠であると言う印象をもたらすためには、逆に言えばそういった伝説が産まれることも必然だったのかもしれません。ある意味時代のカリスマであるからには、人とは違う何かを持っていることが最初の前提になるのかもしれません。しかし、それはスティーブ・ジョブスという前例がすでにあることで、我々自身もそこから学んでいくことができるという、個々人のイノベーションにもつながるのではないでしょうか。
本書の内容はスティーブ・ジョブスの入門書です。少々無理のあるつながりもあるかもしれません。しかしスティーブ・ジョブスという天才、カリスマを知るための端緒に役立つと思います。