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『ジーパンをはく中年は幸せになれない』津田秀樹 of 新書ブックセンター - 新書専門のレビューサイト -

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著者
津田秀樹
初版発行
2009年10月10日
ISBN
978-4-04-867775-2


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概要&レビュー

『ジーパンをはく中年は幸せになれない』というタイトルを見て、ドキッとした人も少なくないのではないでしょうか。中には大きな声を出して「ジーパンをはく中年が幸せになれないって言っても、俺は幸せだぞ!」と反発する方もいるのではないでしょうか。私自身は現在中年に片足を入れたところですが、ジーパンはすでにはいていないのでタイトルに反発はありませんでしたが、しかしなぜ?どうして?という興味を惹かれました。
私たちの生活、人生は、常に選択の連続です。お昼に何を食べようかという日常的な軽いものから、契約や結婚など、人生を左右するであろう数は少ないかもしれないが、その後を決定する大きな選択などがあります。特に大きな選択は、その選択次第によっては人生が大幅に変わってしまうこともありえます。
 しかし究極的に言って、正しい選択というものはあるのでしょか?本書の著者によれば、万人に共通した正しい人生や豊かな人生というものは本来なく、あるのは、その人が後悔しないように、自分の本心に間違わずに選択できたかということが、その人らしさであり、その人固有の豊かな人生を歩んでいると伝えているように思います。しかし、一見すると自分らしく選択しているように見えて、その実他の何かの力に左右されて“仕方なく”選んでいることも少なくなく、そしてその仕方ない選択を無意識のうちに行い、そしてそれでたとえ失敗したことに気がついたとしても、無意識に判断していること故に、その後も同じようなことを繰り返してしまい、なかなか人生は改善されていない・・・ということになってしまいがちです。
著者は心理研究家で、「本物の心理テスト」というのを主宰している方ですが、一種遊びとしてしか利用されない心理テストから離れ、その人の人生をより豊かにするための“人生の選択”として、学問としての心理テストを志向しているようです。本書もその志向の延長にあるようで、普段の生活で犯しがちな選択ミスを、無自覚なものから自覚できるものにして、修正をかけていく仕掛けをかけています。本書は数々の心理学の実験の事例を挙げながら、陥りがちな選択ミスを明るみにし、正しい選択をするための修正を説くものです。とても読みやすく、平易な文章でさらっと書いてありますが、ドキッとすることの連続で、実践的な内容になっています。