概要&レビュー
テレビや雑誌などで、私たちは日々健康情報に接します。時にある食品がブームを巻き起こすことも少なくありません。しかしその情報を吟味する余裕もなく、次から次へと紹介されるままに摂取していくということになったりもします。そもそも食品と健康との関連というのは、一朝一夕に結果が出るものではなく、また調査をして統計を出したところで、相関関係は出ても、因果関係が出てこないことも多いものです。こういった研究対象自体に問題があるために、実際に効果があったかどうかの判定は、専門家でも難しいものがあります。しかしそうは言っても、健康に近づくのであれば、積極的に食事を改善したいと思うものですので、個々でのリテラシーを上げていく必要があります。また、健康食品などは、何故か高価なものが多く、そして長期に渡り服用していくものが多いため、そう簡単にブームに流されていくわけにはいきません。
そこで本書は、健康情報を吟味する方法論を提案しています。その情報が正しいか、信頼するに値するものなのか、その振り分けを行うフロチャートが掲載されています。このフロチャートを基にしながら、巷間乱れ飛ぶ健康情報の仕分けをしてみると、いかにずさんなものも数多く含まれているのかということが分かります。
本書の後半は、医学書などに掲載された、がんなどの病気と食材・食事との関係性の調査した医学論文と、著者によるその評価が多数引用されています。前半に書かれている健康情報の精査の仕方を、ケース・スタディで解説しているのが後半といったところです。本書タイトルには『食べ物とがん予防』とありますが、本書ではがんだけではなく、多数の病気と食品との関連性を、医学論文を通して吟味していますので、身体と食事の関係を知る一助にもなると思います