概要&レビュー
本書は、『ドラゴンファーム』シリーズなどの小説を書いている女流作家である、久美沙織さんが著したものです。本書によりますと、著者は29歳で結婚するも、なかなかお子様に恵まれず、ある時から自分が不妊症であると気づき、そこからあれこれと試したようです。そしてお子様を授かったのが45歳。たいへんな道のりだったと想像しますが、本書は、不妊症を自ら経験し、そしてそれを乗り越えた著者による、多くの不妊の方へのアドバイスといった趣の本です。
医学的に不妊症を解説している本はたくさん出ておりますが、どれも“医学的には”正しいものばかりですが、なかなか“心”や“精神面”からのケアやアプローチまでは触れていないものが多いのではないでしょうか。本書では、東洋医学の「からだ全体をととのえる」という考え方に触れておりますが、それ以外は心の状態を楽にするお話しがほとんどです。他の不妊症の本にはないこういった心のもち方、気楽な気持でいるということは、できそうでできることではありません。不妊症が長引くと、様々な心の痛手を受けます。それは当事者にしか分からないことであることが多いため、ご主人を含めた周囲の理解をなかなか得られないこともあり、仮に周囲の理解があったとしても、自分自身が自分を責めてしまうという心の負のスパイラルに陥ってしまうこともあります。
もう少し気楽に、そしてちょっとした心の隙間を作っていく。さらには、妊娠しやすい身体作りのために、女性としてのホルモンをアップするための気持の見直しなど、心や気持ちから、妊娠しやすい身体を作っていこうという、経験者が感じてきたことを素直にやさしくお話ししています。受身の身体作りとして、貴重なアドバイスになる一冊です。